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コネクタの基礎知識

时间: 2020.12.24 クリック数: 192

  コネクタの基礎知識

   

  基礎編

  定義

  回路などを電気的に接続したり、切り離したりするために用いられる部品・器具のことをいいます。はんだ付け等の特別な工具や工程を必要とせず、手や簡単な工具を用いて接続したり、切り離したりできるものです。

  
コネクタの例示図


   

  コネクタは色々な種類がありますが、大きくは単独で使用される1ピースタイプ、プラグとソケットの2ピースからなるタイプが多く、1ピースタイプは直接プリント基板や電線をコネクタに接続します。
2ピースタイプはプラグとソケットに分かれており、プラグとソケットをはめ合わせる部分を接触部、プリント基板や電線を取り付ける部分を接続部と言います。

  
コネクタの接続部・接触部の例示図

1ピースタイプと2ピースタイプの使用例示図


  種類と分類

  コネクタには、大きく分けて4つの接続形態があります。

  
コネクタ接続方法図(水平接続・中継接続・垂直接続)
1. 基板と基板を電線でつなぐ:Board to Wire (B to W)


コネクタ接続方法図(スタッキング接続・水平接続・垂直接続)
2. 基板と基板を直接つなぐ:Board to Board (B to B)


D-sub端子例示図
3. 機器と機器をつなぐ:INPUT / OUTPUT (I / O)


  
短絡コネクタ・ICソケット例示図
4. その他:短絡コネクタ、ICソケットなど

   

  構造と原理

  コネクタには色々な種類があり、構造や使われる部品も色々ありますが、 基本的な構造としては、コンタクト、ハウジングで構成されています。

  コンタクト:コネクタを結合したとき相互に電気的な接続をするための接触子

  ハウジング:コンタクトが組み込まれる本体部分(通常絶縁体で形成)

  コネクタの種類/用途により、他の部品が追加されていきます。 以下はDサブコネクタの例です。

  シェル:絶縁体及びコンタクトを収納する外側のケース

  アイレット:ハウジングとシェルを固定する留め具

   

  
コネクタ(プラグ側)の分解イメージ図。プラグシェル、プラグハウジング、アイレット、プラグコンタクト(Short)、プラグコンタクト(Long)
コネクタイメージ図(プラグ側)

   

   

  
コネクタ(ソケット側)の分解イメージ図。ソケットシェル、ソケットハウジング、アイレット、ソケットコンタクト
コネクタイメージ図(ソケット側)


  技術編

  定格/性能

  コネクタの定格/性能は一般的には主に以下の4項目に分類されます。

  1. 電気的性能

  定格電圧、定格電流、接触抵抗、絶縁抵抗、耐電圧など

  2. 機械的性能

  挿抜力、挿抜耐久、耐振動、耐衝撃など

  3. 環境性能

  耐熱性、耐寒性、耐湿性、耐ガス性など

  4. 実装性能

  半田付け性、半田耐熱性など

   

  電気的性能

  1. 定格電流

  電気的、機械的な特性の劣化なしに連続的に流せる最大電流。

  2. 定格電圧

  電気的、機械的な特性の劣化なしに連続的に印加できる電圧。

  3. 接触抵抗

  規定された条件下で結合したコンタクトの電気抵抗。
通常、接触抵抗に導体抵抗を加えた抵抗(総合抵抗)を接触抵抗と言う場合が多く、抵抗値の大小より安定性が重要です。

  4. 絶縁抵抗

  絶縁されたコンタクト間の抵抗。

  5. 耐電圧

  絶縁された金属部間に電圧を1分間加えたとき、絶縁破壊の起こらない限界値。

   

  機械的性能

  1. 挿入力、抜去力(引抜力)

  カップリングまたは同様なデバイスを作用させない状態で 一対のコネクタを完全に挿入または引抜くために要する力。

  2. 挿抜耐久

  コネクタの保証される抜き差し回数で挿抜回数とも言います。
主に接点の接触圧力(接圧)及びめっき仕様よって決定されます。

   

  その他の性能

  耐振動、耐衝撃、各種環境性能、実装性能は、コネクタの使用環境条件や経年劣化の影響について、各種環境試験を行い保証しているものです。
これらの項目は一般的には単独項目で設定されており、複合での条件、基準ではありません。

  また、コネクタではその機能や構造により、個別の性能を定めたものがあります。 ロック強度、電線引張強度など、様々な性能があります。

   

  使用編

  使用上の注意

  1. 使用温度範囲について

  使用温度範囲はコネクタの通電による自己温度上昇分を含みます。
すなわち、以下の考え方になります。

  使用周囲温度 + コネクタの自己温度上昇分 ≦ 使用温度範囲上限

  2. 保存温度範囲について

  保存温度範囲はコネクタが梱包された状態で保存されるときの条件です。
プリント基板に実装された後、通電しない状態で保管する場合は使用温度範囲を適用します。

  3. コネクタに接続する電線、プリント基板の仕様について

  使用するコネクタに適合する電線仕様(サイズ、材質など)、プリント基板仕様(基板厚、基板スルーホール仕様など)のものを使用してください。
また、適切な工具、設備などを使用し接続を行ってください。

  4. コネクタの挿抜について

  ・コネクタの挿抜はまっすぐ行ってください。

  ・奥まで挿入してください。

  ・ロックがある場合は、確実にロックができていることを確認してください。

  ・抜去時はロック解除ができていることを確認してください。

  他にも様々な注意事項があります。 カタログ、仕様書をご確認の上使用してください。

   

  コネクタの使用における故障

  コネクタの故障は大きく3つあります。

  1. 初期故障

  アプリケーションとして使用される前に故障しているもの

  ・フラックスの付け過ぎ/洗浄液の汚れの接点付着による接触不良

  ・基板コーティング液が接点に付着し接点が固まり接触不良

  2. 偶発故障

  主に機械的ストレスによる突発的な故障

  ・製品を落とす/ぶつける

  ・ケーブルごと引っ張りコネクタが破損する

  ・逆向きでの挿入によりコネクタが破損する

  3. 摩耗故障

  アプリケーションとして使用している中で故障するもの

  ・挿抜回数を超える挿抜により接点部のめっきが剥れ、腐食し、導通不良になる

  ・使用温度範囲を超える高温環境の中で使用することで接点部コンタクトがへたり、十分な接触圧力が得られずに瞬断や接触不良になる

  ・挿抜回数以上にロックを操作しロックが摩耗により破損する

  これらの故障を回避するために使用上の注意を守ってご使用ください。

   

  コネクタの寿命について(一般的な寿命の考え方)

  コネクタの寿命としては接触不良や破損などがありますが、そういった寿命に関しては時間的な概念がコネクタそのものにはありません。

  寿命としては機械的劣化、環境劣化、電気的劣化などが考えられます。
ただ、いずれの場合も、どの状態を寿命と見るかによって判断が変わります。
コネクタの使用される環境や、劣化状態、使用しているアプリケーションのコネクタに 対する要求レベルなどによって変化します。

  コネクタは機構部品(接続部品)であり、この部品自体が単独でなにかを動かすような もの(能動部品)や何かの力を得て動くようなもの(受動部品)ではないため、コネクタ単独では接触抵抗、挿抜回数などで判断しています。

  規格編

  コネクタ規格

  コネクタの規格

  コネクタの規格としては、大きく2つに分類されます。

  ・コネクタそのものを定めた規格

  ・規格コネクタを採用する通信規格など他の規格

  コネクタそのものを定めた規格では、コネクタのスペックを定めたもの、通信規格でコネクタの仕様まで定めたものなどがあります。

  コネクタそのものを定めた規格例

  DIN41612規格

  DIN規格はドイツ工業会規格です。数ある規格番号の中でコネクタを定めたものがいくつかあり、DIN41612規格(一般的にDINコネクタと呼んでいる基板対基板コネクタ)が有名です。他にも丸型コネクタを定めたものもあります。

  MIL-C-83503規格

  MIL規格は米軍規格です。この規格もDIN規格同様様々な規格番号がありますが、コネクタではMIL-C-83503規格(一般的にMILコネクタと呼んでいるフラットケーブルコネクタ)が有名です。

  IEC61076-4-101規格

  IEC規格は世界規格です。
このIEC61076-4-101規格は2mmピッチHMコネクタの規格です。

  USB規格

  この規格はUniversal・Serial・Busという通信規格ですが、コネクタそのものをこの規格内で定めています。

  規格コネクタを採用する通信規格など他の規格例

  VME Bus規格

  VME Bus(Versa Module Eurocard)規格はラックシステムの通信規格で、DIN41612コネクタを採用した規格です。

  Compact PCI規格

  Compact PCI規格は3Uまたは6UのEurocardベースの産業用コンピュータの標準規格です。
IEC61076-4-101規格のHMコネクタを採用しています。
Compact PCI規格で独自の信号配置を決めており、IEC61076-4-101の端子番号とは一致していません。

  RS-232C 規格

  RS-232C(Recommended Standard 232 version C)はEIAによって標準化された規格で、正式名はTIA/EIA-232-Eです。
この規格はCOMポートにモデムやプリンタなどの周辺機器を接続するために広く用いられており、端子には、Dサブコネクタの25極、9極が良く使われています。

  安全規格の定義

  安全規格とは、電気機器を使用する消費者を感電や火災の危険から守るために、機器自身や構成する部品に求める基準をいい、事故防止のための最低基準です。 各国で電圧事情、気候条件、安全に対する考え方に違いがあるので、それぞれが独自の規格を制定して運用しています。
コネクタがその規格を取得していると、それを使用する機器を規格申請する際、コネクタの試験は免除されます。

     

  
各国の安全規格と認証機関
各国の安全規格と認証機関


各国の安全規格の体系

各国の安全規格の体系

   

   

  安全規格の基本的要求

  北米:

  電気機器が原因の火災防止を重視して、機器や部品に使用される絶縁材料の燃焼性、着火性、温度上昇度を規定しています。
主な規格はUL(アメリカ)、CSA(カナダ)。

  欧州:

  電気機器の感電事故防止を重視して、機器や部品における絶縁距離やトラッキング性※を規定しています。
主な規格はEN/IEC(欧州/国際)。

  ※トラッキング性
電位差をもつ電極間にある絶縁物の表面に炭化した導電路が形成され絶縁性を失う度合い


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主要な安全規格


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